シャープさんフラットさん

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ナイロン100℃「シャープさんフラットさん」@本多劇場

ホワイトチームとブラックチームの二本立てを一日でみてきました!
役者も違うし、話もちょこちょこと違います(後半がドドドーッと変わる)

最初がホワイトチーム。私としては好きな役者のほとんどがコチラのチームなので嬉しす。
あーもうボロボロに泣きました。久しぶりに主人公に感情移入する芝居だったなぁ。
「わが闇」から、私にとってナイロンはニヤニヤ楽しむものから、
段々、身につまされるものになってきていて、それがココでガツンと来た感じ。

私は作家ではないのだけど、シャープさん、フラットさんになってしまう気持ちは分かる。

以下、ネタバレ。

主人公の脚本家・辻煙(三宅さん)が、赤坂先生(松永さん)に
「みんながアンタみたいならいいのに」って泣くシーン。辻が泣く前から私が涙・・・
わかってほしいのに、言葉でうまく相手に伝えられないもどかしさ。
辻の恋人・美果がカフカがサナトリウムで本を書いていて、結局死んでしまう話をしたとき。
同じようにサナトリウムにこもって本を書こうとしている辻に「じゃ、ダメじゃん」っていうセリフの突き放した残酷さ(すごくカッコよかった)
どこもかしこも、胸にささりましたよ~。うおーん。

「死」という非現実が現実に起こった時、どう向かい合うかって本当に人それぞれで。
辻は防衛本能として「笑い」に逃げているのか、それとも、「死」というものに直面しても「笑い」に頭がシフトしていってしまう「病気」なのか。多分、そのドチラでもあるんだと思う。

私の好きな小説に舞城王太郎の「好き好き大好き超愛してる」って本があるんだけど。
愛する人が死ぬとなったとき、すごく辛い。でも「愛する人が死ぬ」という非現実的な状況をドラマチックに感じて(ちょっと酔って)しまっている自分もいる。それって、すごくジレンマ。
自分の泣き方をどこか客観的にみて、「アー今、あたし、いい感じに泣いてる!」と思ったことあるもの。爆

売れないお笑い芸人・けんけんさんと、その妻のハルちゃんの二人は、
作家にとって理想的な夫婦で、辻は、こういうふうに美果となりたかったんだと思う。
自分の才能を分かってくれて、支えになってくれる人がほしい。
でも女優という同じような立場の相手に望んでも、それって難しいんだろうな。
結局、けんけんさん夫婦も、現実には目をつぶってしまっているのが辛い。

そして、夜はブラックチーム。
こちらはなんだかスピーディで、話もホワイトよりわかりやすい印象(二回目だからかもだけど)
成瀬南の役割がちょっと違ってくるんだけど、残念ながら、「シャープさんフラットさん」の話は、ホワイトチームの女優さんのほうが胸に刺さってきた。
あとお父さんだなー。辻がお父さんの介護をしていたときの話をするシーンが涙ものなんだけど、
ホワイトチームのお父さん(河原さん)は、身じろぎ一つせず背中を客席に向けていて、
辻(三宅さん)の独白として成立していたのだけど、マギーさんは辻さん(大倉さん)とコンタクトをとっている(一人の人間として意思がある)のが違和感だったな。
小池栄子さんの美果は、まだ辻に未練があるような別れ方だったのも大きな違いかも。
(単純に見た目の問題かもしれないけど、小池さんがマギーさんに心移りをするようには見えないし・・・。ホワイトのほうがしたたかな美果で、だからこそ死なないんだと思う)

でもホワイトにしろブラックにしろ、自分のことを愛してくれていた人を辻は失うんだよね。
(ホワイトでは成瀬南、ブラックでは美果)
その愛してくれる人を失ったとき、辻は、やはり「笑い」にいってしまう。
ブラックのほうが、辻という「病気」の人間と、一般の普通の人間(観客=成瀬南)との対比がしっかり出ていた印象。

ただ私から見るとホワイトチームのほうが説得力があったんだよね。
大倉さんは終始一貫してカッコイイし、小池さんの恋人ってことで、なんかトレンディドラマ的な感じ?
それにくらべて、三宅さんと新谷さんのカップルは、ありえそうで痛かったんだよなぁ。
芸人夫婦も、村岡さんと廣川さんのほうが説得力があったし。
これ以上書くと、ただ私の好きな役者オンパレード紹介になるのでヤメるけど(^^;

一緒に行った相方が「サナトリウムものっていうのは、登場人物が主人公にとって意味のある役割を持って出て来るんだよ」って教えてくれたのだけど、確かに、確かにぃ。

終わってから、楽屋にいちいちお邪魔。大倉さん、大きかったです。
見終わってから居酒屋で「あ~もう辛いな~どうしよ~あ~つらい~」とブツクサいっていた私。
「作家の家族にだけはなりたくない」と言っていた母の言葉がよく分かるわ~。

お芝居は19日まで。オススメなので、ぜひぜひ。
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by oko50525 | 2008-10-13 12:54 | 観劇したもの