「どん底」@シアターコクーン

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Bunkamuraシアターコクーンでケラリーノ・サンドロヴィッチ演出「どん底」を見てきました。
原作はマキシム・ゴーリキー。
ゴーリキーの「鼻」を読んだとき、「ケラさんっぽいなぁ」と思ったのだったわ。
「外套」も面白いです。人間の哀しさが出ててねぇ。なんともいえない味わい。

さて、「どん底」。
本当に「どん底」でしたよ。救いようがないね。

貧しい人々が暮らす安宿。ここにいたくないと思いつつ、居心地の良さを感じてもいて、
結局、そこから抜け出すことができない人々の物語。
私もそうだ。ここにいたくないと思っているのに、安住している。
「どん底だ!」って、悪態をつきながらも、この生活に慣れて、抜け出そうとしていない。
まさに・・・どん底!!
前に進もうとしない、できない状態を、どん底っていうのかも知れない。

以下、ネタバレ含む感想。

上映時間、休憩を挟んで約3時間です。
ケラさんの作品は長くても全然OK(むしろ、長いの歓迎)なので、全く長く感じません。

4回ほど、背筋がゾワッとして、泣けてくる瞬間がありました。

寝たきりの妻アンナ(池谷のぶえ)を、夫の錠前屋(大鷹明良)が振り返って見るだけのシーン。
セリフも何もないんだけど、ただ振り返るだけで、すっごく泣けてきた。
悪態ばかりついているけど、本当は愛し合って夫婦になったんだよね。
でも状態は悪化して、どん底まできてしまった。
どん底なのに、離れられずに一緒にいるっていうのが、実は夫婦愛なのかもな~。

ルカ(段田安則)が、アンナに死について語るシーン。ぞわっとした。
ルカって、どういう人なのかつかみ所がない。
神様みたいにも思えるし、詐欺師にも思える。ウソをつく優しさって難しい。
それにしても、段田さんは素晴らしかった!ザ・役者!

ナターシャ(緒川たまき)が、大家殺しをペーペル(江口洋介)とワシリーサ(荻野目慶子)のせいだ、と訴えるシーン。
これ、原作だと、本当にペーペルとワシリーサが共謀して大家を殺したみたいだけど、
ケラさんのは、ナターシャへの愛ゆえ、衝動で殺したように思えたんだけど・・・その解釈でいいのかな?(黒澤版も突き飛ばしたら、アッサリ死んじゃうんだよね)
なのにナターシャはペーペルに騙されたと思って、ペーペルを牢獄に入れるよう訴える。
ペーペルの絶望ったらないよね。。。
江口洋介はやっぱりカッコ良かったっす。それだけでいい。笑
もっと若い役なんだと思うけど、若くて無鉄砲に見えたしね。
緒川たまきさんは奇麗・・・ナマ足とか生唾ものでしたよ。てへ。声も奇麗。

4つめのゾワゾワはラストの歌。
この歌で終わりか?と思ったら、最後に、また「どん底」な衝撃が来て、
さらにカテコで歌って、なんともいえないカタルシス。

正直、前半は「まんま、どん底?ついていけるかしらん」だったけど、そんな心配いらなかったです。
マスコミ批判のセリフは、ケラさんのオリジナルかな?
「人の不幸は蜜の味」とはよく言ったものだよ。まさに、そう。
人の不幸を見て、「自分はまだマシだ」と安堵したいという気持ち。人間って小さい。
でも本当は、みんな、同じ、ぞん底にいるのよね。気づくか気づかないかだけ。

どん底なりの喜びを見つけて安住してしまうか、外へ出ようともがくか。
この話では、もがいた人間は「死」に向かっていってしまうのが、なんとも残酷。
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個人的に大森博史さんが出てたのが嬉しかった★
私、あの方の演技がすごく理想なのですよ。
大げさなこととか何もしてないのに、目を惹くし、声もいいし。

マギーさんもステキだったぁ。そのあと「サラリーマンNEO」で見て、不思議な気持ちに。。。

素晴らしい芝居を見ると、本当に心がオナカいっぱいになりますね。
珍しく、パンフレットを熟読してしまいました。いいな、古典。私もやりたい!!

●ここ数日は、WSに参加していました。
久しぶりに自分の体と向き合って、充実した時間でしたー。継続したい。
ちょっと意識を持つだけで、姿勢や身体って、すぐに変わるのよね。
WS後に椅子に座ると、背筋が伸びて、まっすぐ座りやすくなってるんだよね。心がけよう。
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by oko50525 | 2008-04-21 10:42 | 観劇したもの